概要 |
天台宗の寺院。西国三十三箇所第26番。山号は法華山、本尊は聖観音菩薩 |
開基 |
(創立者)は法道仙人とされる |
創建 |
白雉元年(650年) |
|
一乗寺の開基とされる法道仙人は、天竺(インド)から紫の雲に乗って飛来したとされる伝説的人物である。
『元亨釈書』等によれば、法道はインドに住んでいたが、紫の雲に乗って中国、百済を経て日本へ飛来、播州賀茂郡(兵庫県加西市)に八葉蓮華(8枚の花弁をもつハスの花)の形をした霊山を見出したので、そこへ降り立ち、法華経の霊山という意味で「法華山」と号したという。
法道は神通力で鉢を飛ばし、米などの供物を得ていたため、「空鉢仙人」と呼ばれていた。
法道の評判は都へも広まり、白雉元年(650年)、時の帝である孝徳天皇の勅命により法道に建てさせたのが一乗寺という。
法道仙人開基伝承の寺院は兵庫県東部地域に集中しており、「インドから紫雲に乗って飛来」云々の真偽は別としても、こうした伝承の元になり、地域の信仰の中心となった人物が実在した可能性は否定できない。
一乗寺には7世紀〜8世紀にさかのぼる金銅仏六体が存在し、この付近には、奈良時代にさかのぼる廃寺跡・石仏などが存在することから、この地域一帯が早くから仏教文化の栄えた地であることは確かだ。
創建当時の一乗寺は、現在地の北の笠松山にあったと推定されている。
笠松山山麓には、古法華(ふるぼっけ)石仏と称される奈良時代の三尊石仏(重要文化財)があり、「古法華」とは「法華山一乗寺の旧地」の意味と思われる。
現存の一乗寺三重塔は平安時代末期の承安元年(1171年)の建立で、その頃までには現在地に伽藍があったと思われるが、正確な移転時期は不明。 |
|